交換日記。

とおくに住んでる4人が、交換日記を始めました。心はきっと、隣にいる。⋮ かごしま ⇄ こうち ⇄ しが ⇆ みやざき ⋮

22歳のお母さん

母から届いた誕生日メッセージに、 「お母さんも、22歳のお母さんやね!おめでとう、いつもありがとう」 と返信した。 すると母から、 「こちらこそ楽しませてくれてありがとう。健康と夜道には気をつけて頑張ってね!」 と。 楽しませてくれてありがとう、…

ふと思ったことなんだけど。

「たのしかったけどすごいつかれた」 東京にボードゲームを買いに行った友達が、こんなことを口にした。 「とってもわかる」「それめっちゃ思う」そう口にしたらぶわっと思考が広がった。 好きなものに触れること同じ趣味を持つ人に会うこと知らない街に降り…

おいしいごはん

ごはんの味がしなくなった。 まあ疲れるとよく起こることだ。 何を食べてるかわからなくて、食べてる意味もわからない。どんどん食べなくなっていって、あっという間に体調を崩す。 よく起こるこの現象に慣れたのか、わたしはこれを解決する方法を知った。 …

そらをみる。

スマホを替えた。と同時に、4年間のデータが消えた。 一瞬でどこかに飛んでって、あまりにも一瞬で呆気なかった。 今までのやり取りとか残ってるなら、すぐに返事もできるし、気になったこともパッと遡れるだろう。 でも、何も残っていないのだ。小さな画面…

秋朝

少し開けた窓から 冷たい空気が染み込んで 火照った肌を心地良く包み込む。 それから少し経って 私の熱をすっかり含んだはずの 空気はまだ冷たい。 たまらず布団を被る。 段々と火照る肌 一向に冷たいほっぺた。 もしまた私を晒したら きっと心地良いのは一…

ここにいて

息がうまくできない。 空気が空っぽみたい。 きっと、見てくれだとか 嫌いとか好きとか 価値観とか そういうものはどうでもよくて ここに在るもの。 真実はただそれだけ。 自分が何を信じたいのか。 それが”自分にとっての”真実になる。 ただそれだけ。 ひと…

ドット

怖いと思った。 いつか、私の世界のドットが粗くなって 道端の雑草も 海と空の境目も 肌をかける風も 見えなくなる時がくるんじゃないか。 いろんな知識が入ってきて いつの間にか ぎゅうぎゅうになって 何も生まれなくなる時がくるんじゃないか。 きっとあ…

湖のそばで。

ひさしぶりに、ここにきた。 あんまり風が吹いてなくて、 空にはべたっとした雲が広がってる。 歩くとちょっと汗ばむけれど、 もう夏服は似合わなそうな、そんな日。 そういえば、あそこ行ってみたいねん。 あの話ってどう進めよっか。 ぽつぽつと会話をしな…

おさんぽ。

通りなれた道を歩く。いつもは車で通る道。たわわと実った穂を揺らす秋の風がワンピースの裾を撫で くるぶしをくすぐる。 蛙が跳ねる。たにしがぬっと進む。焚き火の匂いに誘われて知らない道を進む。まっすぐ歩く。時々曲がる。雨がまつげに掬われ瞳は緑に…

夏とお別れ

今朝、溜まった洗濯物を干し、ふわふわ揺れるタオルを見ていました。 この部屋の私の定位置からは、普通に過ごしていると空が見えなくて、 下から窓を頑張って覗いても、縦10センチの切り取られた水色しか見えません。 9月になりました。 少し涼しくなってき…

ひと月後の私へ

こんばんは、9月30日の私。 今、私は8月30日になったばかりの深夜1時 先輩の家で薄暗い光の中 MacBookを開き、 ひと月後の私にこの手紙を書いています。 何かものを書きたいとずっと思っていましたが、 何を書いて良いのかわからなくて、 いつの間にか月日が…

甘いの

角砂糖をひとつ。 ほろほろ解けて ふわふわ溶ける。 角砂糖をもひとつ。 甘くしないと、飲めないの。 ミルクもないと、だめなの。 苦いのより、甘いのがいい。 ビビットより、パステルがいい。 穏やかでいたい。 可愛くいたい。 優しくありたい。 女の子がい…

瞳が夜に溶け、星を見上げる。 溶けたアイスクリーム。 月明かりと影。 波の音。 秘密をそっと、耳打ち。 砂のひんやり。 掬いきれない髪。 腕の温度。 身体へなだれ込む。 青い黒と、白い黒。 そっと頬を撫でる。 赤い稜線。 明日は雨。 また、いつものよう…

シュークリームが弾けた

べちゃっ、と抉れる音がした。 手に持っていたシュークリームを、床に落としてしまったみたい。 思わず、座って覗き込む。 ふわふわのシューには大きな穴があき、 黄色いカスタードが でろんと広がっていく。 「破裂しちゃった、シュークリーム。」 ぼそっと…

文月の夜に

お元気ですか。 私は今、全然頑張れない毎日を過ごしています。 きっと、気づかなかったけど、長い間頑張りすぎたんだと思います。 私なんかより頑張っている人は沢山いて 今この瞬間も頑張っていて それを見ると焦ってしまう。 なんで私は頑張れないんだろ…

空を越えて、

ザワザワ、ザワザワ。 ロビーに「音」がこだまする。 聞きなれない言葉、なんの会話をしてるのかな。 大きなキャリーケース、何が入っているんだろう。 行き交う、いろんな目の色、髪の色、肌の色。 わたしは、今日、関西国際空港に行って来た。 弟が、1ヶ月…

午前11時頃、バス停にて。

目覚まし時計が騒ぎ出す1時間前に目が醒める。 朝ごはんのおともはミルメーク。 身に纏うのは下ろしたてのからし色。 指先に淡いもも色をのせて 頬にもお揃いの果実を。 足元にはおなじみのスニーカー。 扉を開けると クーラーと夏が胸の中で混ざり それはす…

死ぬまでにやりたい100のこと。

なんにもやる気になれないような、暑くてどんよりした夏の午後。 ぐうたらするのも嫌だけど、何したいなんてパッと出てこなくて。 時折入ってくる風の声をずっと聞きつづけていた。 「死ぬまでにやりたい100のこと、書き出してみない?」 ふと、本当にふと。…

ずっと君に会いたかった。 随分遠回りをした。 君がいそうな場所に行って 君を知っていそうな人を尋ねて 私と同じように、君に会いたがっている人と 一緒に探してみたりもした。 どこに行っても どんなに呼んでも 何をしても 会えなかった。 それは思ってい…

6月、第3日曜日。

「今日の昼メシ、俺が作ってもいい??」 スーパーの袋を片手に、お父さんが戻って来たのは確か12時すぎだっけ。 レタスがたっぷり乗ったサラダうどんを机に並べて、みんなでいただきますと手を合わせる。 しゃきしゃき、つるつる、音だけが聞こえる食卓。 …

15分

針が一歩進む。 子どもたちのそわそわがひとつ増える。 そわそわそわ。 チャイムがなって手に取るのは 教科書とノートではなく、帽子とボール。 準備をしてから行きなさい! そんなものくぐり抜けて向かう先には、砂だらけの靴と まだ梅雨だというのにやって…

愛を届けた日のこと。

「一緒にゲームやりませんか?」て言うことって、俺にとっては告白やねん。 隣で歩く白いシャツの男性が言う。 心地よい風が頬をくすぐり、髪を通り抜ける。 空が青から橙に変わりゆくのを眺めながら、わたしたちは駅に向かって歩いていた。 彼は、ゲームを…

只今、教育実習生してます。

遠くから、子どもたちの元気な声が聞こえる。 その声が大きくなるにつれて、私の心臓も大きく跳ねる。 鉄棒、靴箱、机、こんなに小さかったっけ。 スーツの裾を引っ張る小学2年生の女の子。 私もこんな風に笑っていたのかな。 些細なことで大爆笑する。 気に…

バスの車窓から、大好きな二人へ

大阪発高知行きのバスに揺られている。 「交換日記しない?」 と切り出したのは私だ。 私たち3人は同い年で、21歳の大学4年生。 私は大学を2年間休学しているんだけれど、二人はストレートで進級し4年生だ。 初夏。 大阪は、高知とはまた違う暑さで、コンク…

きいろとわたし

「買い物いくけど一緒に来ない?」 肌がきゅっとするような 涼しい初夏の夕暮れ時。 ちょっと沈んだ気持ちを吹き飛ばしたくて、 誘われるままに街に出た。 煌めくライト、輝くマネキン、 そして、身に纏う鮮やかな 旬の先取り。 ふらふら歩きながら、気にな…

道をつくる

私の父は、道をつくる仕事をしている。 “道をつくる” いろんな風に捉えられる。 例えば、塾の先生は 生徒の進学という道をつくる仕事だと言えるし まちづくりをしている人は 地域の歩む道をつくる仕事だと言える。 スーパーの店員さんや、バスの運転手さんは…