交換日記。

とおくに住んでる4人が、交換日記を始めました。心はきっと、隣にいる。⋮ かごしま ⇄ こうち ⇄ しが ⇆ みやざき ⋮

あいり

秋朝

少し開けた窓から 冷たい空気が染み込んで 火照った肌を心地良く包み込む。 それから少し経って 私の熱をすっかり含んだはずの 空気はまだ冷たい。 たまらず布団を被る。 段々と火照る肌 一向に冷たいほっぺた。 もしまた私を晒したら きっと心地良いのは一…

ここにいて

息がうまくできない。 空気が空っぽみたい。 きっと、見てくれだとか 嫌いとか好きとか 価値観とか そういうものはどうでもよくて ここに在るもの。 真実はただそれだけ。 自分が何を信じたいのか。 それが”自分にとっての”真実になる。 ただそれだけ。 ひと…

ドット

怖いと思った。 いつか、私の世界のドットが粗くなって 道端の雑草も 海と空の境目も 肌をかける風も 見えなくなる時がくるんじゃないか。 いろんな知識が入ってきて いつの間にか ぎゅうぎゅうになって 何も生まれなくなる時がくるんじゃないか。 きっとあ…

おさんぽ。

通りなれた道を歩く。いつもは車で通る道。たわわと実った穂を揺らす秋の風がワンピースの裾を撫で くるぶしをくすぐる。 蛙が跳ねる。たにしがぬっと進む。焚き火の匂いに誘われて知らない道を進む。まっすぐ歩く。時々曲がる。雨がまつげに掬われ瞳は緑に…

甘いの

角砂糖をひとつ。 ほろほろ解けて ふわふわ溶ける。 角砂糖をもひとつ。 甘くしないと、飲めないの。 ミルクもないと、だめなの。 苦いのより、甘いのがいい。 ビビットより、パステルがいい。 穏やかでいたい。 可愛くいたい。 優しくありたい。 女の子がい…

瞳が夜に溶け、星を見上げる。 溶けたアイスクリーム。 月明かりと影。 波の音。 秘密をそっと、耳打ち。 砂のひんやり。 掬いきれない髪。 腕の温度。 身体へなだれ込む。 青い黒と、白い黒。 そっと頬を撫でる。 赤い稜線。 明日は雨。 また、いつものよう…

文月の夜に

お元気ですか。 私は今、全然頑張れない毎日を過ごしています。 きっと、気づかなかったけど、長い間頑張りすぎたんだと思います。 私なんかより頑張っている人は沢山いて 今この瞬間も頑張っていて それを見ると焦ってしまう。 なんで私は頑張れないんだろ…

午前11時頃、バス停にて。

目覚まし時計が騒ぎ出す1時間前に目が醒める。 朝ごはんのおともはミルメーク。 身に纏うのは下ろしたてのからし色。 指先に淡いもも色をのせて 頬にもお揃いの果実を。 足元にはおなじみのスニーカー。 扉を開けると クーラーと夏が胸の中で混ざり それはす…

ずっと君に会いたかった。 随分遠回りをした。 君がいそうな場所に行って 君を知っていそうな人を尋ねて 私と同じように、君に会いたがっている人と 一緒に探してみたりもした。 どこに行っても どんなに呼んでも 何をしても 会えなかった。 それは思ってい…

15分

針が一歩進む。 子どもたちのそわそわがひとつ増える。 そわそわそわ。 チャイムがなって手に取るのは 教科書とノートではなく、帽子とボール。 準備をしてから行きなさい! そんなものくぐり抜けて向かう先には、砂だらけの靴と まだ梅雨だというのにやって…

只今、教育実習生してます。

遠くから、子どもたちの元気な声が聞こえる。 その声が大きくなるにつれて、私の心臓も大きく跳ねる。 鉄棒、靴箱、机、こんなに小さかったっけ。 スーツの裾を引っ張る小学2年生の女の子。 私もこんな風に笑っていたのかな。 些細なことで大爆笑する。 気に…

道をつくる

私の父は、道をつくる仕事をしている。 “道をつくる” いろんな風に捉えられる。 例えば、塾の先生は 生徒の進学という道をつくる仕事だと言えるし まちづくりをしている人は 地域の歩む道をつくる仕事だと言える。 スーパーの店員さんや、バスの運転手さんは…