ばば
「たのしかったけどすごいつかれた」 東京にボードゲームを買いに行った友達が、こんなことを口にした。 「とってもわかる」「それめっちゃ思う」そう口にしたらぶわっと思考が広がった。 好きなものに触れること同じ趣味を持つ人に会うこと知らない街に降り…
ごはんの味がしなくなった。 まあ疲れるとよく起こることだ。 何を食べてるかわからなくて、食べてる意味もわからない。どんどん食べなくなっていって、あっという間に体調を崩す。 よく起こるこの現象に慣れたのか、わたしはこれを解決する方法を知った。 …
スマホを替えた。と同時に、4年間のデータが消えた。 一瞬でどこかに飛んでって、あまりにも一瞬で呆気なかった。 今までのやり取りとか残ってるなら、すぐに返事もできるし、気になったこともパッと遡れるだろう。 でも、何も残っていないのだ。小さな画面…
ひさしぶりに、ここにきた。 あんまり風が吹いてなくて、 空にはべたっとした雲が広がってる。 歩くとちょっと汗ばむけれど、 もう夏服は似合わなそうな、そんな日。 そういえば、あそこ行ってみたいねん。 あの話ってどう進めよっか。 ぽつぽつと会話をしな…
べちゃっ、と抉れる音がした。 手に持っていたシュークリームを、床に落としてしまったみたい。 思わず、座って覗き込む。 ふわふわのシューには大きな穴があき、 黄色いカスタードが でろんと広がっていく。 「破裂しちゃった、シュークリーム。」 ぼそっと…
ザワザワ、ザワザワ。 ロビーに「音」がこだまする。 聞きなれない言葉、なんの会話をしてるのかな。 大きなキャリーケース、何が入っているんだろう。 行き交う、いろんな目の色、髪の色、肌の色。 わたしは、今日、関西国際空港に行って来た。 弟が、1ヶ月…
なんにもやる気になれないような、暑くてどんよりした夏の午後。 ぐうたらするのも嫌だけど、何したいなんてパッと出てこなくて。 時折入ってくる風の声をずっと聞きつづけていた。 「死ぬまでにやりたい100のこと、書き出してみない?」 ふと、本当にふと。…
「今日の昼メシ、俺が作ってもいい??」 スーパーの袋を片手に、お父さんが戻って来たのは確か12時すぎだっけ。 レタスがたっぷり乗ったサラダうどんを机に並べて、みんなでいただきますと手を合わせる。 しゃきしゃき、つるつる、音だけが聞こえる食卓。 …
「一緒にゲームやりませんか?」て言うことって、俺にとっては告白やねん。 隣で歩く白いシャツの男性が言う。 心地よい風が頬をくすぐり、髪を通り抜ける。 空が青から橙に変わりゆくのを眺めながら、わたしたちは駅に向かって歩いていた。 彼は、ゲームを…
「買い物いくけど一緒に来ない?」 肌がきゅっとするような 涼しい初夏の夕暮れ時。 ちょっと沈んだ気持ちを吹き飛ばしたくて、 誘われるままに街に出た。 煌めくライト、輝くマネキン、 そして、身に纏う鮮やかな 旬の先取り。 ふらふら歩きながら、気にな…