シュークリームが弾けた
べちゃっ、と抉れる音がした。
手に持っていたシュークリームを、床に落としてしまったみたい。
思わず、座って覗き込む。
ふわふわのシューには大きな穴があき、
黄色いカスタードが でろんと広がっていく。
「破裂しちゃった、シュークリーム。」
ぼそっと独り言を言って、残骸を拾って片付ける。
とっても美味しそうだったのに、
ふんわりいい香りがしたのに、
あんなにツヤツヤな皮だったのに、
幸福の塊だったのに。
それは一瞬で、破裂しちゃう。
本当に、一瞬で変わってしまう。
ベタベタのクリームとシューを拾いながら、
ふと1日を振り返る。
シュークリームを食べる前のわたしと、
それを落としたときのわたし。
なんだか、今日の「こころ」と一緒だ。
考えすぎちゃって、ぱあんって弾けちゃったのかも、しれないね。
ほんとは、すぐにシューを作って、新しいクリームを入れたいところ。
でも、シュークリームが弾けちゃって、ちょっと気持ちが沈んじゃった。
ちょっとなんだか、疲れちゃった。
今日くらいは、でろでろと、クリームをそのままにしてみようか。
きっと明日には、おいしいシュークリームができてるはず。
そう思って、眠りにつく。
シュークリームが、弾けた。