湖のそばで。
ひさしぶりに、ここにきた。
あんまり風が吹いてなくて、 空にはべたっとした雲が広がってる。
歩くとちょっと汗ばむけれど、 もう夏服は似合わなそうな、そんな日。
そういえば、あそこ行ってみたいねん。
あの話ってどう進めよっか。
ぽつぽつと会話をしながら、湖にそって歩く。
釣りをしてる人や、犬と散歩してる人、 どこかをぼーっと眺めてる人。
そして、わたしときみがいる。
あまりにも、時の流れがゆっくりで、
なんだかちょっと、くすぐったい。
出会ってもう、もうすぐ2年になるっけ。
理解できない言葉がスラスラ出てきたり、
実は甘いものが好きだったり、
めちゃくちゃ人前に立つのが苦手だったり、
お酒を選ぶとき嬉しそうな表情したり、
不器用すぎて変われなかったり。
これまで、こんなに合わないなと思った人はいないと思うけど、
なんだかんだ、なんでもできそうなわくわくをくれるのも、この人しかいない。
いつものように、歩く。
どうでもいいことを、話す。
いつもと違うのは、今日のわたしが彼に切り取られることくらいだろうか。
きみにとって、わたしはどう映るのだろう。
わたしの目に、きみはどう映るかな。
慣れない距離に、ちょっぴり緊張して。
思わず目をそらせてしまう。
ざざーん、ざざっ。
変わらないのは、重ためな空と、生温い風と、広く青い湖だった。
photo by zawaken